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雛人形の役立つ情報

私たちが勝負するのはあくまで価格である、という前提での、名古屋進出だったのです。
私たちが設定した価格に、東海三県の方々もすばらしい反応を見せてくださいました。 契約は順調に取れ、幸先良いスタートが切れたと、ホッとしたものです。

ただし、この価格に敏感に反応をしたのは消費者ばかりではありませんでした。 先行していたC新聞、A新聞、M新聞が連合を組んで、公正取引委員会に「不当廉売」の訴えを起こしたのです。
現在なら考えられないことですが、当時はまだまだ「横並び」が当たり前の時代です。 公正取引委員会もその訴えを認め、私たちに対して四月二九日に緊急販売停止命令を下したのです。
「五月一日より、一ヵ月八二一円未満で売ってはいけない」
この命令は、実質的に私たちを破綻に導いてしまいました。 創刊から一ヵ月あまりの間、中部Y新聞の部数は順調に推移していきました。
五月に入ってからは、伸びるどころか下がり始めたのです。 一度転がりだしたら、もう止まりません。
「販売の神様」こと故・M氏とT社長の戦略は、あえなく潰えてしまったのです。 価格破壊で勝負できないのであれば、あとは普通の戦略で戦うしかありませんでした。
ご存知のとおり、多くの販促品を手にした拡張員によるローラー作戦です。 いうまでもありませんが、先行するC、A、Mと同じ土俵に立たざるをえませんでした。
これでは勝てるはずもありません。 何といっても、先に述べたようにC新聞が圧倒的なシェアを誇る地域です。
戦前から販売所を設けているAと毎日が、何十年かけてもくずせない牙城です。 そんななかだからこそ行った価格破壊が禁じられては、勝負は見えています。
結局、部数は三O万部を維持するのが精一杯というありさまでした。 ねこうなっては、当初に契約した販売店が音を上げたのは当然のことでしょう。

従来の拡張戦略をとらないでも勝負できるから、という条件で集めた人たちです。 若く経験もない私たちの販売店員が、百戦錬磨の他社拡張員と同じ土俵で戦ってどうして勝てましょう。
彼ら販売店員からは「約束がちがうではないか」と不満が出ました。 それに対して私のほうは、何ら反論はできません。
しだいに撤退を表明する販売店主が出てきました。 新聞配達のために必須の販売店維持ができなくなりつつありました。
これは新聞社にとっては致命的な事態です。 そんなときに、私はT氏から新たな指令を受けました。
配達網維持のために新聞販売店経営会社を設立して、その経営を担当しろというのです。 すぐに中部Y新聞社の全額出資による中読ホームサービスという会社が設立されました。


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